リスニング(ヒアリング)学習マニュアル |
|
| リスニング体験談特集 リスニング教材 相互リンク |
| リスニングというのは、英語ではlistening comprehensionといいます。 日本では従来からヒアリングという言葉も同じ意味で使われています。 ただし、「ヒアリングをつける」というと、耳の聞こえる力、つまり 聴覚の力をつけるという感じがします。 ここではリスニングということばを使うことにします。 そこで、リスニングを二つに分けて考えてみます。 音声の聞き取りと意味の把握です。
|
||
2) 聞き取れないという現象について 私たち日本人が 話されている英語が分からない、英語が聞き 取れないという場合、それはどういうことなのでしょうか。 「読む英語は分かるのだけれども、どうも 英語のヒアリングが苦手でね」というひとは、多いのではないでしょうか。 英語が聞き取れないというのは、次の二つのことを指しているのでは ないかと、考えます。 1)音声の聞き取りができない 2)意味が分からない さらに、 1)の「音声の聞き取り」ができないというのは どういうことか。 これは、次の二つに分けて考えてみます。 1) 「近接する音素の聞き分け」ができない 2) 「リダクションの聞き取り」ができない たとえば、1)の「近接する音素の聞き分け」については 典型的なものとして L / R の発音の区別がつかない というのがそれです。 これらの子音は日本語では それら単独で使われることがないので、 わたしたちにとっては識別が非常に困難です。 日本語では、これらの子音に母音が組合さって使われるのが常です。 baseball は、日本式発音では ベースボールで、最後の「ル」のところは ru と発音されます。 また、英語では違うものとして聞こえる音素が、日本語では一つの ものとして扱われているケースがあります。 たとえば、N / M が 日本語で「ん」という文字として同じに 扱われているケースがそれです。 本棚 → hondana 赤ん坊 → akambou 本棚の「ん」は nの発音記号で表記されますし、 赤ん坊の「ん」はmで表記されます。 海外の人たちは これらの音をはっきり違った音として受け止めた としても、私たちはどれも「ん」として知覚してしまいます。 また、英単語(えいたんご)の「ん」は上記のふたつの「ん」とは、 さらに別の発音の仕方をします。「えいたんご」と言ってみてください。 この場合の「ん」は 舌が上あごにも下あごにもつかないはずです。 わたしたちの使う「ん」については、三種類の発音の仕方をしている ことになります。 あるいは、reductionの問題があります。 リダクションとは音の連続によって 初めの音声の聞こえ方が変わってしまうことをいいます。 こういうことがあって英語の音声が聞き取れないということが 起こります。 さらに言うと、幼少の頃にほぼ完成するとされる 脳の神経回路は母国語の音声を聞き取るためのものであって、 それに合わないな音声はノイズとして処理されて しまうということがあります。 L / R の聞き分けができないのは、L と R をそれぞれ別の音として 区別する神経回路を私たちが備えていないからです。 日本語を話す上で その必要がないからです。 3)聞き取れないと早口に聞こえてしまう 日本人は 英語の子音の部分が特に聞き取れないと 言われています。 これは、日本語の場合は、子音単独で使われることは ほとんどなく、子音 + 母音 という組合せで使われるので、 英語の子音のみの部分がノイズとして処理されてしまう からだと言われています。 英語の子音部分がとくに早口に聞こえるとすれば、その部分が 聞き取れないからで、聞き取れるようになるにしたがって それまで早口に聞こえていたものが 普通の速さに 聞こえるようになります。 英語のみならず、他の外国語でも、標準の速さで話されて いるのに、意味がわからないと、 なんとなく早口に聞こえてしまう場合があります。 英語においては、子音部分が日本人にとって分かりにくいので、 その部分がとくに早く聞こえてしまう傾向があります。 脳が「早い」と受け止めるのでしょう。 これは、じっさいのしゃべりが早いからではなく、子音部分が 聞き取れていないから早く話されているように感じてしまうのです。 世の中には実際に早口の人がいます。日本語で早口で話される 場合は、同じ日本語ですから音声の聞き取りの問題はない。 ただ、内容を理解するのにこちらの処理速度が その早口についていけているかどうかの問題はあります。 早口でも中身のない話で、話自体に繰り返しが多かったりすると 早いとは感じないでしょう。こちらの脳の演算装置が十分に対応 しているからです。 何か複雑なことが説明されていて、中身も豊富で しかも 早口だと、こちらの脳の処理速度がそれに 対応しきれないため 相手のしゃべりがかなり早いと感じる こともあるでしょう。 英語の場合は、意味の把握以外に音声処理の負担を 脳は抱えていることになります。 まずは相手の言葉の音声部分を聞き取ろうとすることに 脳は 集中しなければならない。そのために 意味の把握のためには その余力で対応しなければ ならないということになります。 母国語ならば、内容の理解だけに神経を使えばいいものを、 英語においては それに加えて 音声を聞き取ることの負担を 抱えていることになります。 そのため、相手の英語を聞き取ろうとしている あいだに、その人の口から言葉がどんどん流れ出してきて、意味が把握 される前に次の言葉が発せられ、「早い」と感じることになります。 「早い」と感じている脳は、受け取った信号処理にまごついている ことを示唆しています。 「早い」ということは、相対的に脳の処理速度が遅いということです。 この遅さは、音声処理に神経を使わなければならないことから 来ています。 母国語ならば「意味の把握」に10の力を発揮できるのに、英語の 場合は音声の聞き取りに5の力を、そして意味の把握に残りの5の力を 使うとした場合、脳の相対的処理速度は2分の1に低下していることに なります。 聞いている英語を自分が「早い」と感じている場合は、 「早いから聞き取れないのではなく、聞き取れないから早く感じている」 のだということをあらためて自分に言い聞かせるようにします。 速さに圧倒されているとき、脳は多少なりともパニックを起こして います。脳は、「聞き取ろうとする音声が早すぎる」と訴えている わけです。 それについては、「早いから聞き取れないのではなく、聞き取れないか 早く感じる」ということと、「聞き取れるようになれば、早いとは 感じなくなる」ということを自分に(自分の脳に)言い聞かせます。 そうすることで、もっと音声を注意を向けるようにします。 より重要なのは、音声への注意の向け方です。 「わたしは、英語を聞き取ろうとするときに 音声に注意を向けている」 と言われるかもしれない。 出来るだけ自分の意識を子音に向かうようにするのです。 意識が子音に向かうようにするだけで、英語の音声を 聞き取れる率が限界的に高まります。 通常は日本人の脳は子音部分をできるだけ避けようと します。 子音を避けようとしている脳を、子音部分 に少しでも向く合うように意識的にもっていくのです。 このような意識的な努力も集中力が切れると、 また元に戻ってしまうということはあります。それは 当面仕方のないことです。 それでも、くりかえし子音を意識するようにします。 ともあれ、子音部分が聞き取れようになると、それまで 早く聞こえていた音声が普通の速さに聞こえるようになります。 ニュース英語でも、映画の英語でも同じです。 ということから、英語を聞き取るには、とくに音声に 関していえば、子音をどうするかが重要な課題であると いうことが言えます。 参考: 子音の聞き取り能力を向上させるための支援教材 4) リスニングを身につけるための方途 英語のリスニングは 次の二つの観点からとらえることができます。 1)音声の聞き取り 2)意味の把握 同じ言語を話すもの同士ならば、1) は 特段意識することは ないでしょう。 まったくないとはいいません。話すことのプロフェッショナルならば、 自国語ではあっても 相手によく伝わる音声とはどういうものかを 常々意識するかもしれません。 普通の人々の場合はそこまでの必要性をあまり感じることは ないでしょう。 音声のことはともかくとして、自分の言っていることの意味が ただしく相手に伝わっているかどうかというのは、ほとんどのひとが いろいろな局面で意識するのではないでしょうか。 「本当におれの言っていることがあいつに伝わってるのかな」 という思いです。長年つれそった夫婦同士の会話でさえも、 「なんで自分の言っていることを分かってくれないのか」と、 悩むこともあるかもしれない。 リスニングというのは、おたがいの音声がことばとして聞き取れる という前提の上で、自分の言っていること、あるいは相手の 言っていることの意味が理解されることまでを含んでいます。 音声は完全に聞き取れるのだけれども、言っている意味が 分からない、これはよくあることですね。 それが外国語の場合は、まずは 1)の音声の聞き取りが 厚い障壁として学習者の前に立ちはだかることになります。 意味が分かるかどうかというよりも、そのまえに音声を正しく聞き分け ることが出来るかどうかが問題となるのです。 それで、私は、 リスニング学習は 1)音声の聞き取り 2)意味の把握 において 1) → 2) の順番を意識しながら、段階をおって進むべきだと考えます。 リスニング学習というと、これらがごっちゃになっている場合が すくなからず見受けられます。 1)の「音声の聞き取り」を練習する段階では、 2)の「意味の把握」は 脇に置いておきます。 音声の聞き取りがままならない段階で、意味を分かろうと 努力しても効率的ではないと考えます。 まずは、音声の聞き取りに集中して学習したほうがいいのです。 「音声の聞き取り」については、次の二つの項目に分割します。 1) 近接する音素の聞き分け 2) リダクションの聞き取り 5) 音声の聞き分け 音声の聞き分けというのは、「近接する音素の聞き分け」という ように言い換えることが出来ます。 たとえば、日本人の最も苦手なものに、L / R の聞き分けがあります。 日本人はどうして L と R の聞き分けができないのか。 話す日本語において L+母音と R+母音は、同じラ行の 音声として知覚されます。 L+母音ならば、日本人としてはだいぶ癖のある発音となりますが、 ラ行の音の範囲内で知覚されます。「すこし日本人離れした発音では あるけれども、でも分かる。」という感じの音になります。 ということは、日本語においては L と R は区別する必要がない ということになります。ともかく、どらちもラ行の発音として 知覚されるからです。 「ロード」という音について、 英語ならば いうまでもなく load / road の どちらかになりますよね。 「ロードオブザリング」という映画がありましたけど、 カタカナにすると どうしても 「ロード」とせざるをえない。 この場合はloadではなくlordですけど、 日本語においては ロードを L+母音で発音しようが R+母音で発音しようが、 ロードであることには変わりがありません。 洋画のタイトルといとうのは カタカナ表記するのは どこか無理があるなと前から思っているんですけどね。 もっと細かいことを言うと、リングではなくて、「リングs」 ですからね。「ロードオブザリングス」としなければならない。 結局、原題をすべてカタカナにしようとすると、かえって中途半端 になるんですよね。 日本人が L と Rの聞き分けができないのは、言語的にその 必要がないからです。 必要性がないので、私たちの脳には L と Rを 聞き分けるための神経回路がないということになります。 L と Rを聞き分けられるようになるためには どうすればいいか。そのための神経回路があればいいということ なりますよね。 新たに神経回路をうみだすには、そのための刺激を 脳に繰り返し送るということになります。 そのためには、L / R の音を何度も聞くようにします。 ただし、それをどう効果的に行うかという問題はあります。 つまり、とにかく聞いていれば自然にそうなるというもので はないからです。 6) 具体的な聞き分け練習法 どういう戦略をとればいいのか。 まずは、 L と R の含んだ同じ形の単語を何度も聞きます。 例えば、load - road lead - reed tire - tile などです。 これを繰り返し聞きます。 ただし、その場合でも l / rが単語の前にくるタイプ(load-road) と 後ろのほうに来るタイプ(tire - tile)に分けて練習します。 前置型における l / r の聞き分けが出来るようになってから、 後置型を反復練習するというように進めていきます。 そのほうが、神経回路を作りやすいからです。 違った型を混ぜて聞くよりも、まずは一種類の形に絞ったほうが、 神経回路ができやすいからです。 同じタイプのものに集中して聞き分けの練習をするのです。 それに対応する神経回路をとにかく作ってしまうのです。 はじめからあれもこれもというふうにやらないで、一つの型に絞って 繰り返し聞くようにします。 どっちにしろリスニング学習というのは長丁場ですから、 そのつどの訓練で確実に成果が感じられるようにしたほうがいいのです。 そのほうが長続きします。いまやっていることが本当に リスニング能力をつけるのに役立っているのだろうかと不安があると、 途中で意欲が萎えて挫折しがちになります。 今回はこれを達成した、つぎはこの課題を達成してやろう、というように 確実に階段を登っていけるほうが努力を持続します。 音声を聞く場合の仕方ですが、 1) 身体をリラックスさせる 2) 音の細部に意識を行き渡せる これらの二点つのことを実行すると効果が上がります。 1)の「身体をリラックスさせる」というのは、「聞き取ってやろう」と するのではなく、「耳に届いた音声を自然に受け入れる」という 感じの姿勢です。 リラクセーション法などを学ぶと もっと効果があるかもしれません。 たとえば、自律訓練法などです。 身体が適度に弛緩した状態のほうがいいのです。 眠ってしまっては困りますが、そうならないように コントロールできるのならば、リラックスした状態を 深め、それを維持するようにします。 2)の「音の細部に意識を行き渡せる」については、とにかく音に 神経を使うということです。 言葉の意味などは、この段階では気にしないことです。 音のみに意識を集中させます。そして、単に聞くのではなく、 音の細かいところにまで神経を行き渡らせます。 身体がリラックスしている状態のほうが、 そういう細かいところへの集中力が働きます。 上記で述べたことを繰り返し行なうことで、まずは L / R の聞き分けが なんとなくではあっても出来るようになるはずです。 なんとなくであっても出来るということは、まだ か微かかもしれない けれども、神経回路が出来つつあるということを示しています。 7)具体的な聞き分け練習法 その2 今は、例として L / Rを聞き分けられるようになるための練習法を 述べています。 s - th / b - v なども、 L / R の聞き分けと 同じことが言えます。 まずは、load - road lead - reed のように L / R が 単語の前に置かれている種類のことばに集中して テープを聞きます。 単語の数は、30から40個くらい。ひとりのネイティブによって 吹き込まれたものがいいです。 いろんなタイプのネイティブの音声を混ぜたほうがいいと 思われるかもしれませんが、 ここでの目標は L / R を聞き分けるための神経回路を自分の脳内に 発生させることです。ですから、ひとつひとつのステップはできるだけ 単純であるほうがいい。そのステップをこなしてから、 次のステップにおいてほかのネイティブのものをやればいいのです。 つまり、ひとつのステップを構成する要素を複雑にしないことです。 これまで ほとんど英語の音が聞き取れていない人が、いきなり いろんなネイティブのテープを聞きとろうとしても 効果的ではないです。 まずは同じ人物の発音のみを聞き取れるだけでも十分であると いう考え方をしたほうがいいでしょう。 一日中 英語を聞いていられる環境にあるのなら別です。 ここでは、そういう環境には ないということを前提として 述べています。 リスニング学習の一つの考え方として、一日中英語の音声を聞いて いられるような環境を積極的に作り出すというのがあります。 時間的にも経済的にそれができるひとは、そのようにすればいいと 思います。 その場合は、常時いろいろなネイティブの英語に触れるようにした ほうがいいです。 ただし、ここで述べているのは、 そのような条件にない人が どうやって確実にそして 効率的にリスニングを身につけていくかです。 下記に、「聞き分け」練習の一つのメニューを示しておきます。 パソコンとCDを使うことを前提としています。 身体をリラックスさせる。 1st step 画像 lead - reed 音声 li:d - ri':d 画像 reed - lead 音声 ri:d - li:d (それぞれ数秒の間を置くようにする) 2nd step 画像 「次の音声のうち lead はどちらですか」 音声 ri:d - li:d 画像 「次の音声のうち reed はどちらですか」 音声 li:d - ri:d 3rd step 画像 「出来るだけ同じように言ってみてください」 lead 音声 li:d 画像 「出来るだけ同じように言ってみてください」 reed 音声 ri:d 4th step 音声 li:d 画像 「次のどちらですか」 reed - lead 8) 自分の口で発音を再現する 音声を繰り返し聞くとともに、それを自分の口で出来るだけ忠実に 再現するようにします。 そうすることで、神経回路を作るための 刺激を与えます。 正しい発音を行なうには、口の形や舌の位置、のどの動きなどを 知らなければなりません。 実は、今の進んだと思われるヒアリング学習でも、この 部分がまだかなり弱い。 どういうことかというと、発音のための口や舌の動きなどを 効果的に教える手段がまだ確立していないように思えます。 イラストなどの解説図は昔からありますが、 そのような静止的な絵では実際の口や舌の動きは なかなか理解させにくいということがあります。 L や R の発音にしても、一連の音の流れの中で発声 されることを考えると、口や舌の動きも、 動く画像でわかりやすく表現されることがのぞましい。 これは、なかなか難しい課題だと思います。 発声した音が合っているかどうかというのを周波数で 測定するというのは、前記の本が出版されたあたりから 行なわれるようになりました。 まあ、これは出口測定のようなものと言えるかもしれません。 それとともに、口や舌の動きがどうなっているかを 測定するような方法が開発されれば、もっと根本のところで 発音をコントロールすることが出来るようになるでしょう。 L と Rを聞き分け出来るためには L と R がきちんと発音 できるようになることが必要となります。これらの音が 身体のどういう動きによって生じるのかを実感的にわかるように なるまで訓練します。 そのためには、L と Rの音を繰り返し聞くと同時に 正しい口や舌の動作を覚えなくてはならない。 聞いて、そしてその音を自分の口で再現して、 脳に刺激を与え、それに対応する神経回路を生み出すように 努めます。 音声を聞いてから、しばらくして記憶のみを頼りに それらの音声を頭の中だけで再現するようにしてみます。 参考教材: 英語スピーキング科学的上達法 音韻編 9) 多く読み、多く聴く リスニングは、 1) 音声の聞き取り 2) 意味の把握 という二つの側面があります。 音声の聞き取りが完全にできないからと言って、話されて いる言葉の意味が理解できないかと言えば必ずしも そうとは言えません。 l / r や s / th などの近接する音素の聞き分けが 出来なくても、話の内容から 迷うことなくそれがどの単語で あるか分かることが多いものです。 よく出される例として次のものがあります。、 I eat lice. / I eat rice. 私はシラミを食べます。/ 私は米を食べます l / r の聞き分けが出来ないと、 rice なのか liceなのか 分からないじゃないかと おもしろおかしく言われる ことがあります。 でも、まあね、「私はシラミを食べます」というのは、よっぽどの 特殊状況でない限りは出てこない発言だからね。 l / r の聞き分けが出来なくとも、必然的に I eat rice. と受け止めるでしょう。 そういうもんです。 それと、こういう音素の聞き分けというのは、日本人にとっては かなり困難な課題であることを認識しておくことです。 相当のリスニング能力があると見られる人でも、 どこまでちゃんと聞き分け出来ているか わたしは疑問に 思っています。1年間1000時間以上英語を聞いたからといって 聞き分けが出来るようになるとは思わないですね。 またある英語教材を使って高周波の子音になれても、 こういった聞き分けは依然として難しいでしょう。 テープで一対の単語を一回一回聞かせて、どちらが l か r かを 問う問題で高得点をとっても、 じっさいに話されているなまの音声を聞く中で どのくらい 聞き分けられるかとなると、かなり難しいのではないか。 もちろん l / r などの聞き分けが出来れば最高なのですけど、 ただしそれが出来ないからといってリスニングそのものが 出来ないかと言えばそうではない。 リスニング能力というのは、聞き分けだけではないですからね。 それ以外の要素もあります。 聞き分けが出来なくとも、他の要素を鍛えることで、 その欠けている部分を補うことが出来ます。 そのためには、多量の英語を読むことですね。あるいは 聞くことです。 どんどんインプットするのです。英語全般に関わる知識が 拡大していくにつれて、類推する力がついていきます。 つまり、frame of referenceが拡大します。 音声において分からない部分があっても、他のことから 類推できるようになります。 リスニングにおいて 意味を把握する力というのは、そういった 総合力のようなもんだと思います。 語彙力や英文法の知識、それまでに どのくらい英文を読んで きたかとか、そういったことが全て その時の自分の リスニング レベルに影響してきます。 音素の聞き取り能力が不十分でも、 類推する力があれば、その部分をカバーできる というのは、そういった意味合いからです。 ということで、近い音素の聞き分けが不十分でも、常々 リーディングとリスニングのインプットをすることで その弱点を補うことができるということを強調したいのです。 10) 推測することと 音声を聞き分けること 英語の知識が増してくると音声の把握が不確実でも、 推測する力が付いてくるのでそれがどの単語なのかを見当をつける ことが出来ます。 たとえば、 I eat rice. に関していえば、l / r の聞きわけが 不正確でも、I eat lice. ということは 特殊な状況をのぞいて 普通ではまずありえない文なのでほとんど自動的に 私がeat するのは riceであると受け止めます。 この点については、プラス、マイナスどちらもあります。 リスニング全般からいえば、相手の言っている意味を把握するには推測 することは不可欠です。 それは、日本語においてすらそうです。日本語においてすら、 いつも音声的に100%正しく認識できるとは限らないからです。 相手の日本語の発音が曖昧にしか聞こえないことは よくあることです。そういうときには、おそらくこういうことを言っている のだろうと推測しながら聞いているはずです。 リスニングにおいて 推測することは不可欠です。 英語においては、語彙力や英文法、またいろいろな英文を読んだり、 たくさん聞いたりすることで、この推測力が高まっていきます。 極論すると、l / r や s / th などの音素が聞きわけがまったく 出来ないとしても、この推測力を徹底して高めていけば、かなりの部分 まで聞き取ることができるようになります。 ただし、リスニングの基礎的な部分である 音声の聞き取り能力を 身につけるのに、そのことがマイナスに働くことにもなります。 それは、どういうことなのでしょうか。 英語の知識があることによって推測する癖がついているので、 なかなか正しい英語の音声認識が身につかないと言われています。 あるいは、推測して言葉を聞き取った形になっているにも関わらず、 l / rなどの音素を正しく識別できていると思い込んでいることもありえます。 その場合は、自分が推測していることすら自覚していないことになります。 l /r などの音素の識別テストをやってみると、実際は 識別できていない部分があることを自覚させられます。 それまでは、 そのことに気がつかない。 音声面での識別が出来なくても、推測によってリスニングが十分に こなせて、それで実際上の支障が なければそれでもいいじゃないかという考え方もありえます。 わたしも、この考え方を否定しないし、半ば支持もします。 おそらく、日本における過去の英語の達人とされる人たちの中にも、 このやりかたで相当の高みまで到達した人が少なからずいるはずです。 英語での知識が増えれば増えるほど frame of referenceが強化 されるので、推測の精度が高まっていきます。 まあ、これは脱臼する癖のある骨にたいして周囲の筋肉を鍛えて 予防するようなもんでしょうか。これはこれで 有効なやり方だと 思っています。 それに対して、骨そのものを鍛えるやり方が 音声の識別能力を訓練することです。 音声面での推測する割合を出来るだけ減らしていくのです。 推測することによって I eat rice. であるとしていたのを、音声的に I eat rice.であると認識するようにするのです。 リスニングの結果としては、どちらも同じことです。 つまり、推測によって I eat rice.と認識しようが、音声認識によって I eat rice. と受け止めようが、どちらも I eat rice. と認識したことに なります。 ただし、推測によるやりかたは、安定性に欠きます。推測は、 間違っているかもしれないことを前提としているからです。 よって、音声面において聞き分けできる部分をふやし、推測する部分を 減らすことが求められます。 自分が行なっているl / rの聞き分けを観察すれば、推測によるものか あるいは実際に聞き分けしているのかは、かならずしも一定では ないことが分かります。 l / r が 単語の語尾に来るケースは、日本人にとっては比較的 わかりやすい。その場合は、推測ではなく 音声としてきちとん聞き分けできている可能性が高い。 l / rが単語の前にきたり、中ほどで他の子音の後ろにつく場合は聞き分け が難しくなる。 その場合は推測で聞く傾向が高くなる。 ただし、どれを推測で聞いていて、どのケースで音声が聞きわけられて いるか それほど自覚していないということもありえると思います。 そういうときは、下記でテストを受けてみてください。 http://exp.atrcall.jp/ これを使って 聞き分けのテストをすると、先程述べたように はっきり聞き分けられる ケースとそうでないケースのあることが自覚されます。 l / rが単語の前に置かれるケースは、日本人にとって 苦手とされています。 聞き分けの練習をしていて、初めのうちはまったく見当がつかず、 勘に頼っていたのが、訓練を繰り返すうちにしだいになんとなくわかる ような「感じ」がしてきます。 l の音はもしかしたらこういうのかな、 rの音はもしかしたらこういうのかな、 と手ごたえのようなものを感じ始めたら、それらの音についての 神経回路が出来つつあるのです。 一般的には数ヶ月の訓練で 聞きわけがかなりの精度で 出来るようになります。初めの一ヶ月は進歩が感じられず挫折しそう になるかもしれませんが、この期間をなんとか乗り切ってください。 聞き分け能力は獲得してしまえば、一生のものになります。 その後の リスニング学習において新たな展開が待っているはずです。 下記の教材は、不可欠です。是非とも購入してください。 リスニングの基礎を固めるための学習法として、 今の日本においては ひとつの到達点であると思っています。 参考教材: 英語リスニング科学的上達法 音韻編 11) まとめ 近接する音素の聞き分けを出来るようになるための 方法論は 「英語リスニング科学的上達法」が出版されたことに より明確になってきました。 その中で、なぜ L と Rの区別を日本人は出来ないのかという問題が 理論的に解明されてきたこと、そして それらの聞き分け 出来るようになるためにはどうしたらいいかということについての 方途が実証的に示されたことは その後のリスニング学習の 方法論に大きな影響を与えた。 聞き分けは神経回路に関わることという見方からすると、 日本にいて学習する場合 とにかく英語を聞いていればなんとか なるというやり方では、かなり非効率なものになるでしょう。 また、たとえばアメリカに行ったとしても、一年程度の滞在では 聞き分けられるようにはならないと言われている。 やはり聞き分けの能力を身につけるためには科学的アプローチ が必要です。学習を段階化し、ひとつひとつこなしていく というやり方をさらに精密化させていくことが求められます。 聞き分けは 英語の音声の聞き取れるようになるための 一つのステップです。 このほかにリダクションなどの課題があります。 リダクションとは音の連続によって 初めの音声の聞こえ方が変わってしまうことをいいます。 これについても、多数のリダクションを収集し分類化して、その 一つ一つに段階的に慣れていくやり方をします。 リスニングは、大まかにふたつに分けること出来ます。 1)音声の聞き取り 2)意味の把握 音声が聞き取れても、意味の把握(comprehension)が出来ることには なりません。 「音声の聞き取り」学習とは違ったアプローチが必要です。 いろいろな素材の英語を聞く、あるいは新聞記事や雑誌、 小説などを英語で幅広く読むことなどが求められます。 結論として私が言いたいのは、まずは「音声の聞き取り」 のための学習を行なう、そのなかでも特に「近接する音素の 聞き分け」練習に集中すること。そのようにして、 必要な神経回路を頭の中に作り、その後のリスニングの土台を作る という順番で進むというやりかたが、英語のリスニングの 効果的な攻略法であるということです。 リスニングの力をつけると どういういいことがあるのでしょうか 1) 世界が広がります ネット上で世界中のひとが集うコミュニティーがあって、わたしは そこのサブマネジャーの一人をやっていますけど、当初はチャットを 文字のみでやっていました。 1年以上も前から、文字だけでなく音声によるやりとりも導入しました。 そこには、アメリカやイギリスなどの英語を母国語とするひとたち のみならず、ヨーロッパ、アフリカ、アジアなどからもさまざまな 人たちが集っています。 文字だけではなく、声によるチャットをすることで、お互いへの 親近感がまします。 「今度フィンランドへ旅行するので案内して くれませんか」とか、「東京へ観光旅行へ行くのですけど、 どこを見たらいいでしょうか」とか、「それなら 私が案内して あげましょう」というようなやり取りが出てきます。 そこから新しい人間関係が発展していきます。 2) 英語ならば、欧米の人たちだけではなく、アジアの人たちとも コミュニケーションすることが出来ます。韓国、中国、マレーシア、 シンガポール、インド、などなど、いろいろな人たちとをネットで 会話が出来ます。 3) リスニングがあるていど出来るようになると、ますます英語で いろいろな音声を聞こうという意欲が沸いてきます。聞くことに 貪欲になります。 英語のテレビドラマを聞いてやろう、ネットの生の英語ニュースを 聞いてやろう、映画のCDで生の英語を聞いてやろう、というように とにかく「聞きたく」なります。英語を聞くことが日課になります。 そうなると、聞くから さらにリスニング能力が向上するという ようなプラスのスパイラルへ入っていきます。 また、英語に接する時間が必然的にふえるので、語彙力が増してきて、 英文の読解力や英会話力の向上につながります。 4)英語のドラマや映画を字幕なしで楽しみたいというのは、 多くの人にとっての悲願でしょう。字幕を読んでいると、その分 画面において多くのものを見逃しています。役者さんの表情やしぐさ、 情景など、どうしても見逃してしまいます。ですから、映画ファンのみ ならず、映画を100%楽しむために 字幕なしで 映画のせりふを 理解できるようになりたいというのは、当然の欲求です。 5) ことばというのは、学習して伸びる段階と、自然に接していて伸びる 段階があります。リスニングすることが軌道に乗れば、英語のドラマや ニュースが自然に耳に入ってくるので、努力しなくても それなりに 英語力が伸びていく状態になります。 6) リスニングが出来れば、職場や地域のボランティアとして ちょっとした通訳などができます。そこからまたあたらな世界や 人間関係が始まるかもしれません。 |
| リスニング学習体験談 リスニングの壁に挑んだひとたちが語ります |
||
1) kobayashi masao(32才) 会社員 わたしは 海外との取引が多く、それで外国の人と 話さなければならない機会が少なからずあります。英文を読んだり 話したりするのはまあまあなんですが、昔からリスニングが 苦手なんです。 上司は、私がある程度英語ができることを知っているので、 通訳してくれないかと言われたことがあったのですが、 しり込みしましたね。 やはりね、相手の言っていることが分からないんでは、 通訳なんて片手ま でもできません。 どうすれば英語を聞き取れるようになるのかと悩んで、NHKの 英会話なんかもつとめてよく聞くようにしました。 それとか、市販されている英語のテープを買ってきて、 通勤電車の中でも聞くようにしました。 それでも、リスニングが伸びないんですね。洋画やアメリカの ドラマを英語で聞くことによって耳を慣らそうとしましたが、 意味がまったくとれるようになりません。 それで、どうやってもだめなので、途中であきらめて しまいました。 あるときリスニングに関する科学的上達法という本を手にして、 それにCDもついていたので、それを買ってきて、さっそく ためしてみました。 L と R などの母音の聞き分け練習が中心でしたが、その通り やっているとたしかに聞き分けが出来るようになりました。 だからといって、洋画やアメリカのドラマが分かるようになったか といえば、そうはならないんですけどね。(笑い でも、今まで出来なかった L と R とか S と TH の聞き分けが 出来るようになったということは、大きな前進だと思っています。 あきらめかけていましたが、もう一度やってみようという 気持ちになっています。 --------------------------------------------------------- 2) tomonaga mami (26才) 商社に勤めるOL 輸出入に関する書類の作成業務を行なっています。 大学の、4年のときに英検一級の一次に受かったのですが、 二次試験のリスニングで不合格となりました。それ以降、一次試験 には受かるのですが、どうしてもリスニングがだめで、 落ち続けていました。 自分のキャリアの一つしてどうしても一級に受かりたかったのです。 一級に受かるには、リスニングが壁になってました。 リスニングさえ克服できれば、英検一級は手の届くところに あったのです。 それで、とにかく英語の音声になれるために 自分の 生活の中にできるだけ英語の音を入れるようにしました。 インタネットで英語を聞いたり、テープで聞いたりするように しました。 それでも、自分ではリスニングが上達しているようには 思えないので思い切ってリスニングの通信講座を受講することに しました。 ヒアリングマラソン 決して安くない金額ですけど、どうしても一級に受かりたかったので、 受講することにしました。 数ヶ月して英語の音声に前よりなれてきたような感じがしました。 とくに 母音や子音に強弱リズムや音変化にかんする解説は、 ひじょうに役に立ちました。 1年後 再度英検一級に挑戦。二次も合格、といいたいのですが、 またもや合格ならず。 わたし、よっぽとリスニングが弱いのです。 ここまでやったのにと気落ちしましたが、もう一度通信講座の テープを聞き直しています。 次は、一次が免除されているので、 リスニングに集中してやっています。 必ず受かります。 ----------------------------------------------------- aoki yumi (31才) 主婦 私が住んでいる市で英語ボランティアとして登録していたときに、 海外から来た人たちのガイドを努めたことがありました。 そのときに、通訳ガイドに興味を持ち、副業としてでもいいから やっていけないかなと思ったのです。 通訳ガイド試験に受かるための勉強しています。 この試験自体では、リスニングはそれほど重要ではないのですが、 ただ 英語ボランティアをやってきいたときに、 リスニングが弱点であることを痛感しました。 いずれにしても、 通訳ガイドとして実際にやっていくには リスニングは欠かせません。 CDなどで 出来るだけ生の英語を聞くようにしています。 ------------------------------------------------------ oda shigehiko (35) 会社員 以前一年ほどアメリカに赴任していました。そのおかげで、行く前と 比べてたしかに英語を聞く能力はつきました。 それでも、帰国してから2年以上もたってしまうと、DVDで映画の生の英語を 聞いても、すぐに聞き取れないんですね。 また、元に戻ってしまったみたいです。(笑い それで、せっかく身についたリスニング能力を維持するために ヒアリングマラソンをやっています。やはり、なにか目標を設定したほうが いいと思ったのです。 この前、久しぶりに出張でフォートワースに一週間ほど滞在したのですけど、 初めの2,3日はテレビをつけても、頭の回転がついていってないとなという 感じでした。 でも しだいにかつてのように分かるようになりました。 やはり、リスニングというのは 量だと思いますね。出来るだけ英語の音声を インプットすることが大切だと思います。 |
「わたしはこうやって英語のリスニングを克服したよ」 あるいは、「リスニング学習でこのような 悩みを抱えいます」、「これから本格的にリスニングを学習しようとしています」 あるいは 市販されている リスニング学習法の ここがいい、ここが悪い リスニングに関して あなたの体験談やご意見を募集しています。 |
発行人 浅山友一 実践英文法 英文法講座 英語の小説を読む |
| 相互リンク | |||